発達検査とは
心理検査とは、受検者の性格、知能など様々な側面を客観的に知る目的で作られた、アセスメントツールです。心理検査の結果によって診断がつくわけではありませんし、心理検査の結果は、その人を断定的に理解するものでもありません。心理検査を受けた人の特徴を捉え、困っていることを解決するための具体的なサポートをするために実施されます。
このページで紹介している新版K式発達検査やWISC-Ⅳなどの心理検査は、多くの医療機関や療育施設などで、受験者の運動面や思考面、言語発達などを知るために実施される検査です。この検査を受けることによって、受験者の得意な力や苦手な力のバランスが分かり、それをもとにしてより良く生活するための助言や問題の解決方法を考えていくことに繋がります。
新版K式発達検査
この検査は多くの自治体で、1歳児健診や3歳児健診で用いられることが多く、療育手帳の更新や就学前検査などでも使用されています。日本においては乳幼児期から学童期の代表的な発達検査であるといえます。
0歳から成人までの方が受けることができ、対象児者の精神状態が発達年齢(developmental age : DA)として表されます。また、得られた発達年齢と生活年齢の比から、発達指数(developmental quotient : DQ)が求められます。発達年齢と発達指数は「姿勢・運動」「認知・適応」「言語・社会」の3つの各領域、および全領域で算出されます。
検査は検査者と対面で取り組みます。対象児者の年齢に応じて開始する問題が大凡決まっており、その問題に正しく回答できたらより難しい問題に進み、誤って回答した場合は少し易しい問題に移ります。対象児者の回答をもとに検査用紙にプロフィールを描くことで、より詳細な発達側面を捉えることができるように作られています。
結果は発達年齢や発達指数がどの程度であるかだけでなく、検査時の対象児者の様子やプロフィールに基づいて、対象児者の細かな発達の特徴を解釈します。その解釈に基づいて生活での工夫や支援がされます。
WISC-Ⅳ
WISC-Ⅳは、ウェクスラーによって開発された児童用の知能検査です。対象は歳0カ月〜16歳11カ月の子どもです。4つの主な領域(言語理解指標、知覚推理指標、ワーキングメモリー指標、処理速度指標)について知ることが出来ます。
ウェクスラー式知能検査は、受験者の知能をIQという数値で表します。一般的にIQが90~109の間に位置していれば、年齢相応であるとされます。ただし、単純に数値の高低のみで解釈ょすることはなく、検査時の様子や得点のバランスなどを総合的に分析します。そして、受検者の困りや現在の生活状況などを踏まえながら結果を読み取り、生活上の工夫や支援について考えていくことが一般的です。なお、現在は後述する新しいバージョンであるWISC-Ⅴが出版されたこともあり、実施件数は少なくなってきています。
WISC-Ⅴ
WISC-V知能検査は、ウェクスラー児童用知能検査WISCの最新日本版です。WISC-Ⅳの後継版として2021年に日本語版が発売されました。対象は5歳0カ月〜16歳11カ月の子どもです。子どもの知能を測定することを目的にした検査です。知能のCHCモデルに基づき、5つの主要な領域(言語理解指標、視空間指標、流動性推理指標、ワーキングメモリー指標、処理速度指標)について知ることができます。また、補助指標を見ることで、子どもの知能の様々な点の理解に役立ちます。
WAIS-Ⅳ
WAIS-IV知能検査は、ウェクスラー成人知能検査WAISの最新日本版です。WIAS-Ⅲの後継版として2018年に日本語版が発売されました。対象は16歳0カ月〜90歳11カ月の青年および成人です。4つの主要な領域(言語理解指標、知覚推理指標、ワーキングメモリー指標、処理速度指標)について知ることで、対象者の全体的な知能の理解ができます。
参考文献
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特定非営利法人アスペ・エルデの会(2013)発達障害児者支援とアセスメントに関するガイドライン、厚生労働省 平成24年度障害者総合支援推進事業
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上野一彦(2011)日本版WISC-IVテクニカルレポート#1、日本文化科学社
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日本文化科学社、WISC-Ⅳ商品紹介ページ
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日本文化科学社、WISC-Ⅴ商品紹介ページ
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日本文化科学社、WAIS-Ⅳ商品紹介ページ